あなたも罪に問われるかも!?知らないでは済まされない「パワハラの定義」「指導との違い」と具体的事例一覧。
当ブログのブラック企業体験談記事が大変好評です^^。特に職場で「パワーハラスメント」を経験したことがある人は多いようで、以下の記事は非常に読んでいただいてます。
一方で、「どこまでが”指導”でどこからが”パワハラ”なのか」という疑問を持っている人も多いかと思います。
良かれと思って指導した結果、犯罪に問われる可能性もありますし、訴訟を起こされ会社から責任を問われる可能性もあります。
パワハラする人間は一発アウトで社会からドロップアウトになる危険性があります。
今はもう昭和や体育会系の時代ではありませんので、「知らなかった」では済まされないということを理解した方がよいでしょう。
部下や新人を指導する立場の人も多いはずですので、「パワーハラスメント」の該当する発言・言動をすることがないように注意が必要です。
最初に書いておきますが「パワハラかどうかは社員側の主観・捉え方次第」という間違った認識を持っている人がいますが、「パワーハラスメント」の定義は厚生労働省により明確に定義されています。
詳細は以下のドキュメントをご確認ください。
・職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言取りまとめ
簡単にまとめると以下になります。
パワハラの定義
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
※上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当すること
※業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当すること
パワハラの種類
①暴行・傷害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
本記事ではパワハラの定義を具体的な体験談付きで整理しました。
※なお実際には、パワハラは内容により「刑事事件に該当するもの」「民事訴訟に該当するもの」がありますし、「警察に通報するもの」「労働基準監督署に相談するもの」「民事訴訟を起こすもの」が分かれるかと思います。実際に行動を起こす際には、本記事の内容を鵜呑みにせず弁護士や社労士に相談ください。
暴力・暴言・侮辱・脅迫などは明確なパワーハラスメント。
①「身体的な攻撃」:物理的な暴力・傷害などは完全に犯罪。
「殴る・蹴る」
「物を投げる」「物を使って殴る」
「書類で叩く」
「水や飲み物をかける」
「胸ぐらをつかむ」
「毛髪を抜く・切断する」
「身体的な攻撃」は分かりやすいく、殴る・蹴るといった暴力が該当します。
こちらは言い訳をする余地もなくパワハラであり、刑法に違反する違法行為(犯罪行為)です。ただちに医師に診断書(外傷がある等、傷害罪が成立する場合)を取り、警察に被害届を出すべきでしょう。
なお、軽度の場合は微罪処分で送検されない場合もありますが、基本的に書類など痛くないもので叩く行為や胸ぐらをつかむだけでも暴行罪が成立します。
②「精神的な攻撃」:人格否定、汚い言葉使いによる罵声・脅迫。
声を荒げる威嚇や怒鳴る行為:「馬鹿野郎!」「しめたるぞ!」「ふざけるな!」「甘えるな!」「ボコボコにするぞ!」「おまえら!なんでこうなったんだ!」
立場を利用した脅迫:「プロジェクトから外すぞ?」「いますぐ辞めてもいいんだぞ?」「もう明日から来なくていい」「休みがあると思うなよ?」「おまえの代わりはいくらでもいるからな」
侮辱・人格否定:「お前なんかいらない」「他の人は出来るのに、なんでお前は出来ない?」「ダメ人間」「給料泥棒」「役立たず」「クズ」「飯は食うんだ?」「親の顔が見てみたい」「お前みたいなのは転職しても同じ」
恐らく最も多いケースなのではないでしょうか。
指導する上で必要なことは「仕事をするうえで改善すべき点を、冷静に論理的に具体的に個別指導すること」です。
それ以外の感情的な暴言や不必要な侮辱は全てパワハラに当たります。
《女性・41歳の体験談・パワハラ事例》
短期で入った派遣先での出来事です。その時は最初の日に職場で担当者を探していたのですがなかなか見つからず、「担当者に会えない!」と派遣元に問い合わせしてしたところ派遣元が開始時間を間違えた為に派遣先担当者に目の前で怒鳴られて罵倒されて「舐めてるのか!ゴラァ!」とキレられたのです。
派遣元のミスでこんなパワハラにあうとは思いもよらず、しかも仕事中も「お前はバカか!」と暴力まで受けたのです。
自信を持って仕事をしていたのでさすがにこの派遣先には怒りを覚えたのです。
そこで私は納得いかなかったので、派遣元にまた連絡することにしたのですが、ここでも「休憩あるわけないだろ‼さっさと働け!この能無し!」とブラック企業に派遣されたと思いました。
ようやく帰宅時間になり、派遣先を離れたところで派遣会社に連絡し事の顛末を話したところ「大変申し訳ありませんでした」と陳謝され、契約期間満了待たずに終了してもらうことにしてもらい、二度とあの派遣先を紹介してもらわないようにしてもらいました。
新卒の時にブラック企業に勤めてただでさえトラウマになっているのに、フラッシュバックしてしまい帰り際に泣き出してしまい辛かったです。二度とパワハラには遭いたくないものです。
言葉による攻撃がなくても、労働者として不当な扱いをすることはパワーハラスメントにあたる。
③「人間関係の切り離し」:無視する、仲間外れ、ハブるなど。
「無視される」
「集団で嫌がらせを受ける」
「仲間外れにされる」
などが該当します(モラハラ・いじめに分類されているケースもあります)。
暴言や暴力は上司から行使されることが多いですが、このタイプのパワハラは部下や同僚から行使されるケースもあるので注意が必要です。
④「過大な要求」:明らかに不要・無意味・不可能なことを強要する。
「自分だけが責任の重い仕事を押し付けられる」
「周りと比較して明らかに多い仕事量が割り振られている」
「一人だけ遅くまで残業させられる」
「明らかに時代遅れ・非効率な仕事のやり方を強要される」
などが該当します。
「業務上必要な指示である」と言い逃れされやすい嫌がらせですので、綿密に記録を取って立証する必要があります。
⑤「過小な要求」:合理的な理由なく、仕事を与えないなど。
「所謂”タコ部屋”や”リストラ小屋”に押し込まれ、仕事を与えられない」
「お茶くみだけやらされる」
などが該当します。
役割・能力と比較して、明らかにレベルの低い仕事ばかりやらせたり、仕事を取り上げるケースが該当します。
《女性・28歳の体験談・パワハラ事例》
私が短大を卒業し、勤めた私立保育園の話です。設立3年目のまだできたての園だったこともありいろいろな部分でルールが曖昧でした。
まず月の休みが日曜日の4回しかないことは当たり前で、運動会などの行事があり日曜日も出勤するときは15連勤なんてこともありました。もちろん15連勤後の代休なんてものはありません。変則勤務ありでしたが、7:15に出勤しても8:30に出勤しても最低でも19:00を過ぎてからでないと帰ってはいけない空気です。
定時に上がろうものなら無視されます。残業代はでることはありません。
園長、副園長ともに気分でモノを言うので下は機嫌取りが大変です。仕事のミスをしていなくても後ろを通っただけで、うるさい!と怒鳴られることも日常茶飯事でした。私の同期は、タオルを投げつけられたこともありました。
不幸ごとなどの有給以外をとろうとするといじめられるレベルで阻止されます。「あなたが休んだ分の保育はどうなるの?」と言われた時は愕然としました。どうしようもないことをわかっていての発言です。
友達の結婚式で土曜日に休みをもらおうとした時はどのくらい仲良い友達なのかを聞かれました。「それは挙式から呼ばれているの?」などです。
毎年20人近くが退職しますがそのうち5人はいじめられて辞めていました。3月にやめる場合は前年の夏までに言わなければなりませんが、言ってしまえば残りの半年以上はいびられます。本当に劣悪な環境でした。
パワーハラスメントのチェックリストと対策まとめ。
「指導する側のチェックリスト」:感情的にならず、冷静沈着・論理的・具体的に部下の仕事の問題を指導する。
パワハラの定義・分類と特徴を整理しましたが、業務上必要な指示や注意・指導は必要です。
パワーハラスメントに該当しない指導をするポイントは、「仕事をするうえで改善すべき点を、感情的にならず、冷静沈着・論理的・具体的に指導する」「注意をする場合は、大勢の前ではなく個別に指摘する」
本当に指導ですか?
最悪なのは「指導」の名目で、苛立ちやストレスの発散をする幼稚な人間です。
指導に際し、以下のような感情的事情が一切ないか、自分の胸に手を当てて良く考えてみてください。いい大人なんですし、人を指導する立場なんですから、感情的にならずに冷静な対応をしましょう。
怒り・苛立ち・八つ当たりなどの悪感情を含んだ行動ではないか?
役職・権力を背景にした傲慢さ・慢心などによるマウントではないか?
自分の価値観に基づいた考えを押し付けてないか?客観的・論理的か?
部下に対する嫉妬・妬み嫉みから成長を妨げる行動をしていないか?
仕事と関係ないプライバシーに踏み込んでいないか?業務上必要か?
「指導される側のパワハラ対策」:ICレコーダーは必須。感情的にならずに記録を取集し、適切な行動を取る。
とにかく、最も重要なことはパワハラの記録を淡々と残していくことです。
メモやメールの記録はもちろん、ICレコーダーによる録音は現代サラリーマンには必須アイテムです。会社内の人事・ハラスメント窓口に報告するにしろ、裁判するにしろ、警察に通報するにしろ、労働基準監督署などに駆け込むにしろ、証拠があるのと無いのでは信頼度も変わりますので駆け込み先の本気度も変わるかと思いますし。
最近は小型で使いやすいのが数千円で買えますから、常備しておくと良いと思います。私は複数台をあちこちに潜ませてます。
注意すべき点は録音内容を公開したり、当事者(自分と相手)外の第三者の会話を録音したりしないことです。
「秘密録音」は違法ではないですし証拠能力もありますが、秘密録音のルールに乗っ取ったやり方をしないと、逆に相手の権利侵害になる可能性があります。
証拠を採取したら、状況に応じてしかるべき場所に相談しましょう。パワハラを受けた側にも言えることですが、淡々と証拠を集め冷静・合理的な行動をすることが大切です。不必要にパワハラ上司に言い返したり、復讐する・やり返すなどの感情的な行動は控えましょう。
以上です!
こんな書籍もあります。
ブラック企業
日本の会社に未だに蔓延る昭和文化=「有害文化」です。馬鹿な風習はもうやめましょう。