SPYDはアメリカS&P500構成銘柄のうち、配当利回りの高い上位80社に均等分散したETF
SPYDはアメリカS&P500構成銘柄のうち、配当利回りの高い上位80社に均等分散したETFです。
よく比較される【VYM】【HDV】とは違い、クセの強い特徴があります。
上手に使いこなすためにも内容をよく理解しておきたいETFですね。
この記事では、そんな高配当ETF【SPYD】の特徴、魅力についてお届けします。
この記事でわかること
SPYDは高配当ETFのなかでも特殊です。
購入したあとで「そんなはずじゃなかった」とならないために、この記事で特徴をよくつかんでください。
私自身ポートフォリオに10%程度を組み込んで高配当運用しているETFです。
ぜひ最後まで見ていってください。
SPYDの基礎知識と特徴
SPYDはアメリカの資産運用会社ステート・ストリートが運用し、NYSE Arcaに上場するETFです。
名称はSPDR Portfolio S&P 500 High Dividend ETF(SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF)。
アメリカS&P500構成銘柄から、配当利回りの高い上位80社を均等分散したETFです。
SPYDの特徴は次のような点です。
- S&P500から高配当80銘柄を1.25%均等割で構成
- 高配当ETFのなかで分配金利回りが一番高い
- 投資商品が限られる不動産セクターを含んでいる
- 景気敏感セクター比が高く、ボラティリティも高い
- リバランスで株価上昇銘柄が外れる
SPYDの基本情報
- 運用会社
-
ステート・ストリート
- 設定日
-
2015年10月22日
- 総資産額
-
61.6(億USD)
- トータルリターン
-
9.35%(3年)、8.98%(5年)
- 直近分配金利回り
-
6.11%(2022年3月分配基準)
- 配当支払い月
-
年4回(3月・6月・9月・12月)
- リバランス
-
1月・7月
- 経費率
-
0.07%
- 構成銘柄数
-
80
- 算出方法
-
均等加重平均
SPYDの構成上位銘柄(2022年3月時点)
銘柄 | 比率(%) |
---|---|
Baker Hughes Class A | 1.57% |
Chevron | 1.54% |
AbbVie | 1.46% |
Sempra Energy | 1.44% |
Newmont Corporation | 1.42% |
EOG Resources | 1.40% |
Ventas | 1.40% |
ONEOK | 1.39% |
Valero Energy Corporation | 1.38% |
Organon & Co. | 1.37% |
SPYDは1.25%ずつの均等割ですが、株価の上げ下げによって構成比率に差が生じます。
上の表は2021年8月時点の上位構成10銘柄です。
SPYDのリバランスは年2回(1月・7月)です。
リバランスの内容は
- 配当利回りの低い銘柄が除外
- 配当利回りの高い銘柄が採用
配当利回りが低い銘柄とは、直近で株価が上昇している銘柄のことです。
その逆で、配当利回りの高い銘柄とは直近で株価の下がっている銘柄です。
業績好調な銘柄が外され、業績のイマイチな不人気銘柄が採用される。
これがSPYDの大きな特徴です。
この特徴からSPYDの投資方針は
- キャピタル(株価上昇)は期待しない
- インカム(配当)は高利回りを期待
が基本になります。
そうはいってもS&P500採用銘柄が対象なので、アメリカで選ばれし500銘柄です。
それなりのパフォーマンスは期待してもいいと思いますけどね。
SPYDのセクター比率(2022年3月時点)
SPYDの上位セクターは金融、公益事業、不動産。
景気、金利に敏感なセクターが上位をしめています。
不動産セクターが17%をしめていますが、実はけっこう貴重です。
REIT以外で不動産セクターを含むETFは、私の知る限りIYR以外ありません。
手軽に格安でアメリカの不動産セクターに投資できることは隠れたメリットです。
SPYDの配当実績(2022年3月時点)
年平均分配利回り:3.99%
2020年コロナショック時に大きく減配しました。
この時、同時に株価も大きく下げたので、投資家界隈ではいらない子扱いをされたことがあります。
歴史が浅い分、何ともいえませんが、大きな暴落時には配当が不安定になる要素は持ち合わせていそうです。
SPYDのトータルリターン推移(2021年12月時点)
年平均トータルリターン:10.26%
高配当ETF【VYM】【HDV】との比較
米国高配当ETFとしてよく比較されるものにVYM、HDVがあります。
それぞれの特徴は次のとおりです。
- 採用銘柄数が414と分散が効いている
- 金融セクターの比率が高い
- 3高配当ETFのなかで分配率が一番低い
- エネルギーセクター比率が高い
- 分配金利回りがVYMより高め
- 構成銘柄数が75とVYMより少ない
SPYDの設定年2015年以降のリターンを比較したものが、次のグラフです。
VYM、HDVに対するSPYDの値動きの特徴は
上昇局面で上げ幅が大、下落局面でも下げ幅が大。
良い意味でも悪い意味でも景気敏感です。
VYMやHDVが財務優良なバリュー銘柄中心の堅実な銘柄構成なのに対し、SPYDは景気敏感な不人気銘柄中心であることが主な理由になります。
SPYDの保有は、特にHDVと相性が○です。
HDVを構成する上位3セクターは生活必需品・エネルギー・ヘルスケアです。
景気後退局面に強いディフェンシブ銘柄が中心なので、景気敏感のSPYDとは補完関係にあります。
個人的にはSPYDを保有する際は、HDVとセット!と考えています。
S&P500との比較
S&P500に連動するVOOとのリターン比較です。
SPYDが設定された2015年以降はGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)を中心としたハイテクグロース銘柄が市場をけん引してきたこともあり、VOOがSPYDを大きくアウトパフォームしました。
SPYDは株価の上昇した銘柄がリバランスで外れる特徴があるので、値上がり益は期待できません。
あくまで配当金によるキャッシュフローが目的のETFです。
SPYDに投資するには、このアタリの特性をよく理解しておく必要があります。
安定的に資産の拡大が目的ならS&P500に投資したほうが確実です。
SPYDはどこで買える?
SPYDなどの米国ETFは楽天証券、SBI証券などネット証券での購入がおすすめです。
- 経費率が激安な、超優良米国ETFが充実している
- 自宅のPCやスマホアプリから簡単に購入できる
- ETFによっては購入時手数料がキャッシュバックや0円のものもある。
- 楽天ポイントやTポイントで投資ができる
- サポート体制がしっかりしている
など資産形成に役立つメリットが多いのが理由です。
この機会に口座開設を検討してみてください。
現代において証券口座こそが富の倉庫です。
持つモノと持たないモノの間で、差が開く一方なのは間違いありません。
複数の口座を利用することでより効率的に資産形成ができる点にも注目してみてください。
楽天証券とSBI証券であれば、お互いの優位な点を補完し合うことで利用者に大きなメリットがあります。
複数口座を使った効率的な資産形成のしかたについては、記事をまとめてあるので興味のある方はぜひ参考にしてくださいね。
SPYDをどうポートフォリオに組み込むべきか
記事中に何度か説明したとおり、SPYDはかなりクセのあるETFです。
- 株価が上昇している銘柄がリバランスで除外される
- 景気敏感セクターに偏っているため値動きの変動が大きい
- 暴落時に大きく減配する可能性がある
- 分配利回り5%前後の高配当
以上の特徴からSPYDは
キャピタルゲインやトータルリターンを期待せず、配当金キャッシュフロー目当ての保有
が考えられます。
私自身はポートフォリオ全体の10%程度で運用中です。
いかがでしたか?
米国高配当ETF【SPYD】の特徴と魅力について解説してきました。
- S&P500から高配当80銘柄を1.25%均等割で構成
- 高配当ETFのなかで分配金利回りが一番高い
- 本来なら外国人が投資できない不動産セクターを含んでいる
- 景気敏感セクター比が高く、ボラティリティも高い
- 不人気銘柄で構成される傾向がある
扱いはむずかしいですが、抜群の配当利回りで大きなキャッシュフローを生み出してくれるETFです。
SPYD単体での運用はリスクが大きいので、ボートフォリオ全体のなかでスパイス的に保有し、高配当を楽しむのがよいと思います。
実際私もそうしていますしね。
この記事があなたの役に立つようであればうれしく思います。