
DMM Bitcoinは2024年5月31日に約4,502.9BTC(当時約482億円)が不正に流出し、同年12月に事業の廃止を発表しました。顧客の口座と、日本円・現物の暗号資産は2025年3月8日にSBI VCトレードへ移管され、DMM Bitcoinのサービスは終了しています。流出したビットコインはDMMグループが全額を補填すると表明しており、利用者の資産が減ったわけではありません。かつての利用者が今やるべきことは、SBI VCトレードへの初回ログインと、取引報告書の確認(確定申告用)の2つです。
DMM Bitcoin、流出から廃業までのタイムライン

DMM Bitcoinは、DMMグループが2018年から運営していた暗号資産(仮想通貨)の交換所です。38種類の暗号資産を扱い、レバレッジ取引の銘柄の多さで人気がありました。しかし2024年5月に起きた不正流出をきっかけに、わずか10か月ほどで事業を終えることになります。まずは全体の流れを時系列で確認しましょう。
約4,502.9BTC(約482億円相当)の不正流出が発生
DMM Bitcoinのウォレットから、ビットコインが外部に送られていることが検出されました。国内の暗号資産交換所では過去最大級の流出です。
DMMグループが全額補填の方針を表明
流出分を補填するため、グループで約550億円を調達する計画を明らかにしました。新規口座開設や出金、現物の買い注文などは制限されました。
関東財務局が業務改善命令
資金決済法に基づく行政処分として、原因の究明や管理体制の見直しなどを求められました。
事業の廃止と、SBI VCトレードへの移管を発表
12月2日に移管の基本合意を発表。12月24日には、警察庁が北朝鮮のサイバー攻撃グループ「TraderTraitor」による犯行と特定したと公表しました。
移管パスワードがメールで送付される
DMM Bitcoinに登録していたメールアドレス宛に、SBI VCトレードへの初回ログイン用の情報が届きました。
口座と資産をSBI VCトレードへ移管し、サービス終了
3月4日時点で口座を持っていたすべての利用者が移管の対象になりました。
DMMグループ全体の事業や、その中で金融サービスがどんな位置づけにあるかはDMMとは?会社概要と事業の仕組みで紹介しています。DMMは今もDMM FXや株・CFDなどの金融サービスを続けていますが、暗号資産の交換業からは撤退した状態です。
なぜ流出したのか?原因と手口
2024年12月24日、警察庁は米国のFBIなどと連携した捜査の結果、この流出を北朝鮮のサイバー攻撃グループ「TraderTraitor(トレーダートレイター)」の犯行と特定したと発表しました。報道や公表資料によると、手口は高度なシステムの穴を突いたものではなく、人を狙った「ソーシャルエンジニアリング」でした。
採用担当者を装って接触
2024年3月下旬、攻撃者はビジネスSNSで採用担当者になりすまし、DMM Bitcoinが暗号資産の管理システムを委託していた企業(Ginco)の従業員に近づきました。
「採用試験」と称してマルウェアを実行させる
試験用のプログラムと偽って不正なスクリプトを送り、従業員に実行させました。
従業員になりすまして管理システムに侵入
盗んだ情報を使って従業員になりすまし、委託先の通信システムに入り込みました。
正規の送金依頼を書き換えて送金
DMM Bitcoinが出した正規の取引の依頼を改ざんし、ビットコインを攻撃者のアドレスに送らせました。
つまり、交換所そのもののサーバーが破られたのではなく、管理を委託していた先の従業員が入口になったのが特徴です。どれほど対策をしている会社でも、人を狙った攻撃は防ぎきれないことがある、という教訓を残した事件でした。私たち利用者の側でも、「採用」「懸賞」「サポート」を名乗るメッセージから届いたファイルやリンクを安易に開かないことが、身を守る基本になります。
利用者のお金はどうなった?補償の内容
「DMM Bitcoinに預けていたお金は返ってくるのか」は、検索でも特に多い疑問です。結論から言うと、流出によって利用者の預かり資産が減ることはありませんでした。
全額を補填
DMMグループが流出分を補填するために資金を調達。利用者のビットコインはグループの負担で全額が保証されました。
日本円・現物は移管
預けていた日本円と現物の暗号資産は、SBI VCトレードの口座にそのまま移されました。
レバレッジ建玉は対象外
レバレッジ取引の未決済ポジションは移管されず、移管日までに決済されています。
注意したいのは「返金」という形ではなかった点です。預けていた資産は、現金で払い戻されたのではなく、SBI VCトレードの口座に移った状態で今も残っています。移管後に一度もログインしていない人は、資産が置き去りになっている可能性があるので、次の章の手続きを確認してください。
SBI VCトレードに移管されたもの・されなかったもの

移管にあたって、利用者が事前にSBI VCトレードで口座を開く必要はなく、SBI VCトレード側で口座が用意されました。移管の対象は2025年3月4日時点でDMM Bitcoinに口座を持っていたすべての人です。何が移り、何が移らなかったかを表にまとめます。
| 項目 | 移管 | 補足 |
|---|---|---|
| 口座(会員情報) | ◯ | SBI VCトレード側で口座を開設。事前の申し込みは不要 |
| 日本円 | ◯ | 預けていた残高がそのまま移る |
| 現物の暗号資産 | ◯ | DMM Bitcoinだけが扱っていた14銘柄は、SBI VCトレードが移管日までに取り扱いを開始(取扱いは全38銘柄に) |
| 取引報告書など | ◯ | DMM Bitcoinでの取引に関する報告書はSBI VCトレードが引き継ぐ |
| レバレッジ取引の未決済ポジション | ✕ | 移管の対象外。SBI VCトレードで扱いのないペアには対応しない |
| 暗号資産同士の交換(ETH/BTCなど) | ✕ | 取り扱いの予定はないと案内された |
※SBI VCトレードのプレスリリース(2024年12月25日)・移管特設サイトの案内をもとに整理。
DMM Bitcoinはレバレッジ取引の銘柄が豊富なことで知られていましたが、移管後は同じ形のレバレッジ取引は続けられません。レバレッジ中心で使っていた人は、取引スタイルに合う別の交換所を探す必要があります。
元利用者がやるべき3つの手続き

移管から時間がたった今でも、「メールを見落としていた」「ログインしていない」という人は少なくありません。資産を確実に手元に戻し、税金の申告で困らないために、次の3つを済ませておきましょう。
- ① SBI VCトレードに初回ログインする:2025年3月3日にDMM Bitcoinの登録メールアドレス宛に送られた移管パスワードと、DMM Bitcoinに登録していたお客さま情報を使ってログインします。メールが見つからない場合は、SBI VCトレードの移管特設サイトの案内に沿って問い合わせます。
- ② 登録情報と出金先口座を確認する:住所や電話番号、出金先の銀行口座が古いままになっていないか確認します。引っ越しや口座の変更があった人は特に注意が必要です。
- ③ 取引報告書をダウンロードして保管する:DMM Bitcoin時代の取引の報告書はSBI VCトレードが引き継いでいます。確定申告で損益を計算するときに必要になるので、早めに入手しておきましょう。
DMM Bitcoinはすでにサービスを終えています。「DMM Bitcoinの返金手続き」「補償金の受け取り」などをうたうメールやSMSが届いても、リンクを開いたりパスワードを入力したりしないでください。手続きはSBI VCトレードの公式サイト・公式アプリから行うのが原則です。
確定申告・税金で注意すること
暗号資産の利益は、原則として雑所得として総合課税の対象になります。会社員でも、暗号資産を含む給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。DMM Bitcoinの廃業と移管が重なった2024年・2025年は、申告で迷いやすいポイントがいくつかあります。
| よくある疑問 | 考え方 |
|---|---|
| 移管で資産がSBI VCトレードに移ったら課税される? | 口座の預け先が変わっただけで、暗号資産を売ったわけではありません。移管そのものは売却とは異なります。 |
| レバレッジの建玉が決済された損益は? | 移管前に決済されたポジションの損益は、その年の取引として申告の対象になります。 |
| 取得価額(買った値段)はどう計算する? | DMM Bitcoin時代の購入記録が必要です。引き継がれた取引報告書で確認します。 |
| 2つの交換所の記録をどうまとめる? | DMM Bitcoin分とSBI VCトレード分の報告書を両方そろえて、年間の損益を合計します。 |
※税務の扱いは一般的な考え方です。個別のケースは税務署や税理士に確認してください。
特に、DMM Bitcoinで購入した暗号資産を移管後にSBI VCトレードで売った場合、利益を計算するにはDMM Bitcoinでいくらで買ったかの記録が欠かせません。報告書を取り寄せないまま売却すると、取得価額がわからず計算に困ることになります。「まだ売る予定はない」という人も、記録だけは今のうちに保管しておくと安心です。
この事件から学べること:交換所選びのチェックポイント
DMM Bitcoinの事件は、グループの資金力で利用者の資産が守られた「まだ幸運なケース」でした。これから暗号資産の取引を始める人、交換所を選び直す人は、次の点を確認しておきましょう。
✓ 確認したいこと
- 金融庁に登録された暗号資産交換業者か
- 顧客の資産をコールドウォレットで分けて管理しているか
- 流出時の補償の方針や、親会社の財務の体力
- 二段階認証や出金先の登録制限など、利用者側の守りの機能
✗ 避けたいこと
- 1つの交換所に資産をすべて置きっぱなしにする
- 同じパスワードを複数のサービスで使い回す
- 「サポート」「採用」を名乗る連絡のファイルを開く
- 取引の記録を残さず、申告の直前に慌てる
DMMグループでお金を増やしたい場合は、暗号資産ではなく、FX・株・CFDといった金融庁の登録を受けた証券サービスが選択肢になります。それぞれの特徴はDMMの金融サービス完全ガイドで比較しています。
よくある質問(DMM Bitcoin)
DMM Bitcoinは今でも使えますか?
DMM Bitcoinに預けていたお金はどこに行きましたか?
流出したビットコインの分は返金されましたか?
SBI VCトレードにログインできません。どうすればいいですか?
レバレッジ取引のポジションはどうなりましたか?
DMMは今後、暗号資産の取引所を再開しますか?
まとめ:元利用者は「ログイン」と「報告書の保管」を
DMM Bitcoinは、2024年5月の約482億円の流出をきっかけに廃業し、2025年3月8日に口座と資産がSBI VCトレードへ移管されました。流出分はDMMグループが補填しており、利用者の日本円と現物の暗号資産は今もSBI VCトレードの口座に残っています。
元利用者がやることは、①SBI VCトレードに初回ログインして残高と登録情報を確認する、②DMM Bitcoin時代の取引報告書を保管して確定申告に備える、③「DMM Bitcoin」を名乗る不審な連絡には反応しない、の3つです。まだ手続きをしていない人は、この機会に済ませておきましょう。


